今回は1987年製作のアメリカ映画「エンゼルハート」をご紹介します。
こちらはTVゲーム「サイレントヒル」に多大な影響を与えたことでも有名で悪夢の様な演出が当時、話題になりました。
この映画のおかげで、この気味の悪い白昼夢の様な演出は一般化したのではないでしょうか。
また、後述しますが「この種のオチ」の元祖でもあります。
それでは本文へ
あらすじ
1955年のニューヨーク、
私立探偵のハリー・エンゼルは謎の紳士ルイ・サイファーから人探しの依頼を受ける。
それは10年前に失踪した人気歌手ジョニー・フェイバリットを探して欲しいというものだった。
簡単な仕事と思われたその案件はいく先々で殺人などが起こり、暗鬱としたものへと変わっていく‥
主要キャスト
ミッキー・ローク (私立探偵 ハリー・エンゼル)
ロバート・デ・ニーロ (依頼人 ルイ・サイファー)
リサ・ボネット (元ジョニーの恋人の娘 エピファニー・プラウドフット)
シャーロット・ランプリング (元ジョニーのパートナー マーガレット・クルーズマーク)
主要スタッフ
監督、脚本:アラン・パーカー
原作: ウィリアム・ヒョーツバーグ
撮影: マイケル・セレシン
編集: ジェリー・ハンブリング
音楽: トレヴァー・ジョーンズ
この映画の魅力
この映画の魅力は3点あります
1、ストーリーのたくみさ(この手のオチの元祖です)
2、アラン・パーカー監督の演出の凄さ
3、出演俳優の魅力
各項目お話しします。
1、ストーリーのたくみさ
探偵物なので最初は人探し、途中から犯人は誰だ?ですが、余計な伏線はありません。じっくり見れば、「ああなるほどね」となります。そして、この作品の後に溢れかえってしまった、「この手のオチ」の元祖です‥
「この手のオチ」とは犯人は主人公だった…というやつです。スティーブン・キングの「シークレット・ウインドウ」なんかモロにこれですね。
小説家のコンクール「日本ホラー小説大賞」ではあまりにこのオチが多発して「禁じ手」とされたそうです。(その割に、選考委員の荒俣宏さんも「帝都物語」で、このオチ使ってますが‥)
また、登場人物の名前は聖書的なものを著しています。
主人公のエンゼルは天使
依頼人はルイ・サイファー→ルシファー(魔王)
エピファニーは異邦人に対する主の顕現
原題は「堕ちる天使」
主人公ハリーが依頼人のサイファーにより「堕ちていく」物語。
エピファニーの意味も黒ミサ的に考えると
異邦人→主人公ハリー
主→普通はイエス・キリストだが、この場合、魔王。
と考えるとハッとさせられます。
ちなみに、この映画自体のタイトルの「エンゼルハート」
ハートといえば日本人でも『心』の意味もあると知ってますが、この場合、そのまんま「心臓」なのですね‥
題名「ハリーの心臓」分かり易いタイトルです‥
2、アラン・パーカー監督の演出の凄さ
原作は舞台はニューヨークのみで、地下鉄など都市らしいロケーションが多いのですが、アラン・パーカー監督はブードゥー教の黒人社会や、白人の保守的な上流階級者を描きやすいアメリカ南部へと舞台設定を変えました。
これにより都会よりも物語の現実味が増しています。
また、後にゲーム「サイレントヒル」のクリエイターさん達にも影響を与えてたと書きましたが、主に
下降するエレベーター
白昼夢の世界
がそれに当たります。
「サイレントヒル」でもエレベーターは主人公の堕ちていく様を表し、この映画では所々である白昼夢の世界を、鉄のサビや闇で悪魔の世界へと発展されています。
最後のエンドクレジットで、延々と続く下降するエレベーターの演出は、主人公が地獄に堕ちていく様を著しています。
不気味な白昼夢の世界も、殺人が始まる前には換気扇が逆回転したりしますし、ベールを被った修道女が出てきますが、ちゃんと最後には誰だったかは明かされます。
昨今イメージ的な不気味な映像は多くありますが、この映画は意外と意味が分かり易いものとなっています。
音楽は「ラビリンス」なども手がけているトレヴァー・ジョーンズです。
冒頭のニューヨーク路地裏の不気味な映像から、最初にジョニーを探しに病院に行く時など、何度も同じメロディーがアレンジされて流れています。
(ハリーも口笛でこのメロディーを!)
後にこの曲はジョニーのヒット曲だとわかります。
BGMだけでなくマーガレットの知り合いのおばちゃんも、エピファニーも口ずさんでいます。
また、クライマックスには実際にレコードがかかります。
気にしてみているとしょっちゅう使われているので、クライマックスのレコードが流れるところでハッとなりますよ。
3、出演俳優の魅力
ともかくミッキー・ロークがセクシーです。サラリーマンには絶対なれないだろなといういい意味でだらしない男の魅力が全開です。
リサ・ボネットはこの作品の直前はアメリカのTVで、ファミリー向けの番組で人気だったらしいのですが、ここでは17歳の未婚の母を演じています。これもセクシー!
そしてロバート・デニーロ。何にでもなれる人ですな。ここでは、実は魔王である不気味な紳士を演じています。
映像配信サービスについて
こちらの作品はU-NEXTで視聴できます。
最後にブルーレイについて
昨今、動画配信サービスなどで本編は観れるコンテンツが増えました。
なので円盤を買う価値は減ってきているのですが、このブルーレイは
1、日本語吹き替え→2種類ありますが新しい方(音声切り替え5番)をお勧めします。安原義人さんの吹き替えがミッキーロークにピッタリだからです。
2、監督のオーディオコメンタリー
3、監督とミッキー・ローク、リサ・ボネットのインタビュー
4、予告編
と盛り沢山です。
特にミッキーロークのファンの方にとっては、この映画について以外のインタビューも含まれているので、マストバイです。
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