竜騎士07の最高傑作「うみねこのなく頃に」(ネタバレあり)

漫画
本記事はアフィリエイト広告を利用しています。

はじめに

今回は、TVゲーム「サイレントヒルF」のシナリオライターになられた竜騎士07の最高傑作「うみねこのなく頃に」を取り上げます。
えっ、竜騎士07の最高傑作って、「ひぐらしのなく頃に』じゃないんですか?
という方も多いと思います。
私も「ひぐらしのなく頃に」は傑作だと思いますが、この「うみねこのなく頃に」の独自性は他に本当に無いと思ってます。中々、複雑な構成なので、初見では意味が分からないとか、とっつきにくい方も多いと思います。私もその1人でした。
そこで、この傑作の解説をしていきたいと思います。

取り上げますのは『漫画版』です。
ゲーム版ではありませんので、ご了承下さい。

*未読の方は、これ以降『ネタバレあり』ですので、お気をつけ下さい。

各エピソード(多少のネタバレあり)

全8エピソード。
「ひぐらしのなく頃に」の様に前半4つが出題編。
後半4つが解答編(タイトルに「散」がつきます)なのですが、実際には最後の2編が解答編です。

1984年の六軒島における右代宮一族の連続殺人事件の謎を魔女の仕業か人間の犯行かで推理するゲームです。アガサ・クリスティの傑作推理小説「そして誰もいなくなった」をモチーフに出題編の最後のほとんどに「うみねこのなく頃に生き残れた者はなし」となります。
また、その最後に犯人からの独白の手紙の入ったボトルメールが届いたことになっています。

Episode1 Legend of the golden witch

邦題「黄金の魔女の伝説」
作画 夏海ケイ
全4巻

この島にいるのは18人? 年に一度の親族会議のため、六軒島を訪れた右代宮一族。台風により閉ざされたこの島で、次々に起こる不可解な事件。浮かび上がる19人目の存在、魔女ベアトリーチェ。連続殺人幻想「うみねこのなく頃に」、ここに開幕――…。

漫画の紹介欄から

最初のエピソードだけあって、最後の最後にやっと魔女ベアトリーチェが登場します。
このエピソードは予備知識無しで読んで欲しいです。
そうしないと、物語の緊張感が伝わりません。
一旦終わり、??となってからの「お茶会」でようやく物語の主旨が判明して、次以降のエピソードに繋がっていきます。

Episode2 Turn of the golden witch

邦題「黄金の魔女の手番」
作画 鈴木次郎
全5巻

連続殺人幻想第二章、開幕。一代で家を隆盛の極みに導いた右代宮金蔵。命数尽きようとする、かの老当主が所有せる莫大な金塊を巡り片翼の鷲の紋章を許されし一族の思惑が交錯する。大人達の駆け引きの一方で右代宮家の使用人“家具”紗音は仕えるべき一族、右代宮譲治に想いを寄せる。同じ家具としての宿命に生きる嘉音の掣肘を余所に、紗音は魔に魅入られる。紗音の許されぬ恋――それは、この世のものならぬ力によって成就された。黄金の魔女のベアトリーチェ。愚かな人間達への哄笑が運命の孤島に響き渡る。

漫画の紹介欄から

初めてキャラの過去が紹介されました。
紗音と譲治、嘉音と朱志香の2人の恋仲。
そして、真里亞と楼座の親子関係。
そして、ついにベアトリーチェは最初から姿を現します。また、使用人は「家具」という表現が出てきたり、また、悪魔の眷属の黒山羊や煉獄の7杭が初登場します。
物語は一方的に魔女の勝ち。「お茶会」で魔女のラムダデルタが出場し次のエピソードへ。

Episode3 Banquet of the golden witch

邦題「黄金の魔女の晩餐会」
作画 夏海ケイ
全4巻

信じる心が、魔法の力。当主になることは不可能だと諦めていた絵羽に、彼女の内より生まれた、在りし日の少女はこう囁く。「右代宮絵羽は必ず当主になる。」と――…。魔女幻想渦巻く第三章、開幕。

漫画の紹介欄から

冒頭から魔女達に弄ばれる戦人。
劇中劇のミステリーを解き明かすという物語なのがハッキリとされる第三章。
楼座が若き日に九羽鳥庵にてベアトリーチェと会い、崖から落ちて死んでしまった事が語られた章。
絵羽が魔女になり、暴れる章ですが、どうやら現実も絵羽が生き残るらしいというのがハッキリする章です。
魔族としてはシェスタ姉妹が初登場。
最後に六軒島に行かずに生き残った縁寿が登場して終焉です。

Episode4 Alliance of the golden witch

邦題「黄金の魔女の同盟」
作画 宗一郎
全6巻

六軒島の惨劇から遥かな未来。物語は聖ルチーア学園に通うある少女の悲しき日々から始まる。戦人の妹、縁寿が魔女の仕掛けた謎に挑む!!

漫画の紹介欄から

生き残った縁寿の物語。
出題編の最後という事もあり、現実の世界の描写をたくさん入れながら、事件の確信に迫っていきます。
表題は、縁寿が真里亞と結んでいた魔女同盟の事。
戦人の母親は誰?という謎が提示されます。
また、実はベアトリーチェは魔女二人に弄ばれていて、絶対に勝利できない事が明らかになります。
そして、この物語の最大、最後の謎、ベアトリーチェの正体とは?が提示されて物語は終了します。

Episode5 End of the golden witch

邦題「黄金の魔女の最後」
作画 秋タカ
全5巻

第4のゲームの後、勝ちを諦め心を失ってしまったベアト。盤面は気まぐれな魔女たちに支配され、第5のゲームが始まる…。魔女・ラムダデルタの紡ぐゲームにて、戦人はベアトリーチェの真実に至ることができるのか!? 「うみねこ」解答編、堂々スタート!!

漫画の紹介欄から

ここから、回答編になります。
とはいえ、この第5章と第6章は核心には触れません。
前章で戦意喪失したベアトリーチェに代わり、ラムダデルタがゲームマスターを務めます。
また、途中まではベルンカステルの駒、探偵の古戸エリカが推理を進めます。
この章からミステリーのルール、‘ノックスの十戒’が登場します。
また、異端審問官ドラノール達が初登場です。
夏妃をメインに「金蔵は事件前に死亡している」件について、事実が語られていきます。
また、18年前に夏妃が金蔵からあずかった赤子を、使用人ごと崖から突き落とした事が初めて語られます。
早い段階でエリカと戦人が碑文の謎を解き明かすため、碑文による連続殺人は起きません。
最初、負けてしまった戦人のためにベアトリーチェは消滅してしまいます。全てを理解し、復活した戦人はエリカと再戦し、引き分けに持ち込みます。
そして、全てを理解した証に、戦人はラムダデルタから、ゲームマスターになり、新しいゲームを始めることを約束させられ、次のエピソードへとなります。

Episode6 Dawn of the golden witch

邦題「黄金の魔女の夜明け」
作画 桃山ひなせ
全6巻

六軒島を舞台にした第6のゲームは、戦人が構築した“魔女幻想”。そしてその謎に挑むのは、“探偵”古戸ヱリカ。黄金の魔女へと至る二人のベアトをめぐる物語とは…!? 解答編第2弾、遂に開幕!!

漫画の紹介欄から

全てを理解した戦人がゲームマスターの章。
現実世界の縁寿が「メッセージボトル偽書作家の伊藤幾九郎0576」、またの名を推理作家の八城十八と出会い、あの日の真実について尋ね、メタ世界に入り、八城十八が観劇の魔女フェザリーヌとして、縁寿を今回の章の朗読役(駒ではない)に任命するところから、今回の話は始まる。
そして、前回の章で消滅してしまったベアトリーチェに代わり、戦人が新たなベアトリーチェを生み出すが、記憶がないために、言わば雛のベアトリーチェとなってしまう。その雛のベアトリーチェがフェザリーヌの記憶の書庫で以前のベアトリーチェと出会い、「姉妹の」ベアトリーチェが今章では活躍する。
また、紗音と嘉音の関係も以前の章に比べて分かりやすくなり、熊沢がワルギリアに変身したり、解答編らしく、かなりのヒントが出ている。
紗音と嘉音だけでなく、ベアトリーチェも含めた3すくみで対決して、1組だけが結ばれるというのは、ベアトリーチェの正体と今までの謎解きの大きなヒントである。

Episode7 Requiem of the golden witch

邦題「黄金の魔女の葬送曲」
作画 水野英多
全9巻

「ベアトリーチェを殺したのは誰?」魔術師狩りのライトこと異端審問官のウィル、右代宮家次期当主の右代宮理御の二人が魔女の死の真相と六軒島連続殺人事件の謎に挑む。竜騎士07×水野英多が贈る「うみねこ」シリーズ新解答編、開幕!

漫画の紹介欄から

前章の最後で、フェザリーヌに今までのゲームの答え合わせを依頼されたベルンカステルが、今回のゲームマスター。
答え合わせが主目的なので金蔵の過去など今までの章では出てこなかったエピソードが盛り沢山。
全9巻とボリュームタップリです。
異端審問官のウイラードが初登場。
また、右代宮理御もウイラードの探偵助手として登場します。
今回のゲームの趣旨はベアトリーチェの葬儀にあたり、「誰がベアトリーチェを殺したか?」です。
ウイラードの推理により、それは「ベアトリーチェの正体」と同義である事が分かり、遂に真犯人の独白が始まります。
そして、それだけで終わりではなく、現実の六軒島で起こった事実が縁寿と理御に明かされます。
最後に自分の好きなように残酷なゲームを紡ぎたいベルンカステルが再びゲームマスターになると言って、最後の第8のゲームに向かい終了となります。

Episode8 Twilight of the golden witch

邦題「黄金の魔女の黄昏」
作画 夏海ケイ
全9巻

1986年10月4、5日六軒島。あの日、あの場所で起こった不幸な事故――。たった独り残された縁寿は、真実を知ることを求めた。愛しい妹のため、戦人は縁寿をあの日の六軒島へと招く。その眼で真実を視てもらうために―――。真実に至る道筋の散りばめられた、「うみねこ」最後のゲーム、開幕…!!

漫画の紹介欄から

ベルンカステルが最後に好きなように遊びたいと始めた最後のゲームが、偶然にも戦人が縁寿を救おうと始めたゲームと重なってしまい、縁寿の精神を救おうとする戦人と残酷な現実を縁寿に突きつけようとするベルンカステルのせめぎあいになる。
絵羽の残した日記を巡り、縁寿・エリカ・ベルンカステルVS戦人・ベアトリーチェ・その他の登場人物となっていく。
最終的には、現実の六軒島殺人事件の事実が明白になり、ベアトリーチェの最期と現実の縁寿のその後の人生が語られる。
ハッピーエンドですよ!

感想

私が初めて「うみねこのなく頃に」のゲームをしたのは、「ひぐらしのなく頃に」の余韻も冷めない頃でした。正直、ひぐらしのヒットの後、いわゆる二匹目のドジョウを狙ったものだと思ってました。それが始めてみるとよく分からず、ゲーム版はすぐに挫折しました…
その後、『漫画版』が刊行され始めたので、読み始めました。その絵の綺麗さと分かりやすさにはまりました。
この話はいわゆる劇中劇があり、それとは別に本当の現実があるので、何度か読み慣れないと理解ができませんでした。
正直、謎解きの部分に関しては少し強引かな?と思う部分もありましたが、そこは「ひぐらしのなく頃に」でもありましたので、あくまでシナリオに、登場人物のストーリーに感動しました。
三代目ベアトリーチェの人生には涙しか出ません。
ですが戦人と妹の縁寿に関してはハッピーエンドと言える終わり方でしたので安心しました。
以下、解説していきます。

解説(ネタバレあり)

世界の多重構造

端的に言ってしまうと、基本は紗音の書いた小説です。
右代宮家を登場人物にして、本人達も出演しながら、戦人と三代目ベアトリーチェが推理していくという構造になっています。
そこに魔女や縁寿などが加わってきます。
なので、出演者としての戦人と解答者としての戦人を分けて考えなければいけません。
いわゆるメタフィクションというやつで、かつ、時に現実の話が織り込まれるので複雑になっています。
また、エピソード7とエピソード8は謎解き編です。
エピソード7は少し遠回しですが、エピソード8は完全に現実で何が起き、最終的にどうなったか語られます。

戦人の罪

紗音に「必ず迎えに来る」と言っておきながら、完全にそれを忘れてしまっていること。
約束を破ったならまだしも約束したことすら忘れているので、それをなじることすらできない。

19年前の男

エピソード5で、夏妃が脅迫されていた19年前に夏妃が崖から突き落とした赤ん坊の成長した姿。
実際には紗音=ベアトリーチェの事だが、このときの脅迫電話は戦人が行っている。

19人以上いる

六軒島にいるはずの人数は18人だが、全員の犯行が不可能と思ったり、親族などを疑わないたくないと思うと19人目の存在が疑われてくる。
実際には金蔵はすでに死亡しているし、紗音と嘉音は同一人物なので16人である。
ただし、別の名前を持つものは別人と考えると紗音と嘉音を別人とカウントする事となり、人数が変わってくる。

犯人は誰?(「わたしはだぁれ」)

エピソード4の最後でベアトリーチェが尋ねる「わたしはだぁれ」ですが、各エピソードの犯人はベアトリーチェで、彼女が魔女の仕業と見せかけて、本来の姿である紗音や嘉音になり、使用人たちを使って犯行を行います。また、エピソード毎に黄金による買収などで共犯者を募っていました。
現実の人間の名前は安田紗代。そして、本当の名前は右代宮理御です。孤児だと本人も思っていましたが、実は金蔵と二代目ベアトリーチェの近親相姦によりできた娘でした。以下の項目で彼女の人生の詳細に触れます。

ベアトリーチェの正体

ベアトリーチェは物語中に出てくる人は三代目です。
以下、簡単に初代と二代目、そして三代目については詳しく書きます。

初代

第二次大戦中に六軒島に流れ着いたイタリア人グループの女。
そのイタリア人達が10トンの黄金を持っていた。
金蔵と恋仲になり結ばれる。

二代目

金蔵と初代ベアトリーチェの娘。
母を早くに亡くし、六軒島屋敷とは島の反対側の九羽鳥庵に秘密裏に匿われて暮らしている。
初代ベアトリーチェを亡くし、狂った金蔵に肉体関係を持たれ、娘を出産した。
楼座に連れられ、屋敷を逃げ出すが崖から転落して死亡した。

三代目

金蔵と二代目ベアトリーチェの娘。
孤児院でつけられた名前が安田紗代。
夏妃に、当時の使用人ごと崖から突き落とされ、性的な発達障害となる。
源次と南條先生の暗躍により一命をとりとめた後、右代宮家が援助している孤児院「福音の家」にて育てられる。
園長先生の影響で、この頃より妄想で別人格を夢想するようになる。
自分の理想の姿としての紗音は、この頃からの想像上の友人。
源次のはからいで3歳下に年をごまかして、右代宮家の使用人となる。
異例の低年齢の使用人として、周りの使用人からいじめられる。その時のあだ名が「ヤス」。
物を失くし困ったときに初めて魔女を妄想する。物を自由に移動させる魔法を使う魔女を当初はベアトリーチェとしていた。
その後、直接自分の分身としての魔女を夢想し、そちらをベアトリーチェとし、最初の魔女をガァプとした。
また、屋敷に初代ベアトリーチェの肖像画が飾られてからは、自分の想像上の魔女のベアトリーチェの見た目を肖像画に則ったものとした。
使用人としても年月とともに成長していく。
親族会議で、出会った戦人と推理小説の談義を重ね、恋仲になっていく。
1980年の親族会議で、戦人に告白されたと思ったが、家を出た戦人は翌年の親族会議から来なくなり、1983年の親族会議で霧江が持ってきた戦人からの手紙に自分宛てが無かった事により、失恋の気持ちをハッキリとさせる。その心の傷をごまかすため、戦人への恋心をベアトリーチェに渡し、紗音はその気持ちを忘れる。
譲治と恋仲になっていく紗音だが、いっこうに女性として発達しない自分の身体に嘆き、男性としての別人格、嘉音を生み出した。そして、源次に頼み、現実世界でも使用人として働き出す。その事により、嘉音は朱志香と恋仲になる。
そんな折、碑文の謎が屋敷に出され、それを解いたため、自らの出生の秘密と右代宮家の家督と黄金を手に入れる事になる。
そんな時、6年ぶりに戦人が親族会議に来ることになり、ベアトリーチェ、紗音、嘉音の3人格の恋心の葛藤で悩み、運命のルーレットに自分を委ねる事とし、六軒島殺人事件のシナリオを考える。
結果、親族達は碑文の謎を解くも殺し合いになり、戦人とベアトリーチェは助かる。
戦人が一緒に逃げようと言ってくれるが、自らの犯行の責任を取り、足に黄金をくくりつけ重りにして、海に身投げする。

六軒島殺人事件の真相

犯人は戦人の両親の留弗夫と霧絵。
銃の暴発から起こった争いを機に他の親族を皆殺しにした。
生存者は3名(後に三代目ベアトリーチェは自害、戦人は行方不明)
絵羽と戦人と三代目ベアトリーチェの3人が島の爆発を逃れる。
絵羽は九羽鳥庵にいて助かる。
戦人とベアトリーチェは地下通路にいて助かる。

縁寿の人生

1986年の親族会議に体調不良で不参加になり、偶然にも命をとりとめる。
生き残った絵羽と二人で暮らすも、打ち解けられず、絵羽は六軒島殺人事件の事実を語らずに死亡する。
六軒島殺人事件の事実を知りたい縁寿は、右代宮家の会社を取り仕切っている小此木が雇ったボディガード天草と行動し、母方の実家の追撃をかわしながら、六軒島などを調べる。
「黄金の真実」に至った縁寿は作家として、真里亞のぬいぐるみだった、さくたろうをモチーフにした作品を発表し、売れっ子作家となる。
後に、記憶を失ったが生きていた戦人と再会する。

戦人の人生

留弗夫の正妻、明日夢の子として育てられたが、実は霧江の産んだ子だった。
(なので縁寿とは父も母も一緒の兄妹)
1980年の親族会議で紗音に告白めいたことを言うも、父親の留弗夫の亡くなった明日夢への不誠実な対応に怒り、家を飛び出し、明日夢の実家で過ごす。しかし、明日夢の両親(戦人の祖父母)が亡くなったのをきっかけに、留弗夫の謝罪を経て、右代宮家に戻ってくる。
1986年に6年ぶりに親族会議に参加するが、殺人事件に巻き込まれ、生き残り、ベアトリーチェと生きようとするが、彼女は海に身投げしてしまう。ベアトリーチェを助けようと海に潜ったため、瀕死となり、陸に上がったところを八城幾子に助けられる。
その際、脳に怪我があり、そのせいで記憶喪失となってしまう。名前が分からないので、八城十夜と名乗る事になる。
幾子が趣味で推理小説を書いているのを一緒に書くようになり、合作で推理小説作家となる。
数年後、作家となった縁寿と再会し、福音の家に招かれる。

登場人物(ネタバレあり)

通常は最初の方に、この項目を置いて、ストーリーの箇所を読むのに支障が無いようにしますが、先にネタバレしてしまいますので、敢えて最後に持ってきました。
物語の核になる人物は「解説」の箇所で触れていますので、簡単に触れます。
*犯人である女性の名前は「ヤス」とします。

右代宮家

当主の金蔵には4人の子供がいます。
また、使用人達もここで語ります。

右代宮 金蔵(うしろみや きんぞう)

右代宮家当主。
関東大震災で没落した名家を戦後に復興させた男。
大戦中にイタリア人女性のベアトリーチェと出会い、イタリア軍の持っていた謎の金塊10トンを手に入れる。
その後、亡くなったベアトリーチェを甦らすため、黒魔術にハマる。
六軒島殺人事件の時点では死亡している。

長男一家

右代宮 蔵臼(うしろみや くらうす)

右代宮家の長男で次期当主。
尊大な性格だが騙されやすい。
妻と娘を心から愛している。
学生の時、ボクシングを嗜んでいた。

右代宮 夏妃(うしろみや なつひ)

蔵臼の妻。
実家は神官の家系。
なかなか子供を授かれなかったため、金蔵に理御をおしつけられ、ノイローゼになり、
使用人毎、崖から突き落としてしまう。 
その後、朱志香を産む。

右代宮 朱志香(うしろみや じぇしか)

蔵臼と妻の娘。
活発な性格で軽音楽をやっている。
嘉音と恋仲になる。

右代宮 理御(うしろみや りおん)

蔵臼と夏妃の娘。
パラレルワールドの夏妃に崖から突き落とされなかったヤス。
エピソード7と8にのみ登場。
金像から、20歳で右代宮家の次期当主になるよう「銀の指輪」を与えられている。

長女一家

右代宮 絵羽(うしろみや えば)

右代宮家の長女で第二子。
頭脳明晰で男勝りで、格闘技にも通じている。
六軒島殺人事件で生き残るが縁寿とは分かりあえずに他界する。
六軒島殺人事件について書いた日記を残す。

右代宮 秀吉(うしろみや ひでよし)

絵羽の夫。婿養子。
裸一貫で会社を起こした苦労人。
明朗快活な人。

右代宮 譲治(うしろみや じょうじ)

絵羽と秀吉の息子。
自分の性格にコンプレックスがあるも成長を望んでいる。
母の影響で格闘技の心得がある。
紗音と恋仲でプロポーズする。

次男一家

右代宮 留弗夫(うしろみや るどるふ)

右代宮家の次男で第三子。
軽薄な性格で女癖が悪い。
明日夢と結婚するも霧江との間にも子供をつくる。
明日夢は死産で、霧江の子が無事だったが、正妻の子供が死産だと都合が悪いので、
医者に金を握らせ、逆にした。
六軒島殺人事件の犯人。

右代宮 霧江(うしろみや きりえ)

留弗夫の妻で後妻。
戦人と縁寿の実の母。
留弗夫の策謀で戦人を明日夢の子供と思い込まされる。
実家は旧家の須磨寺家で反社とも付き合いがある。
六軒島殺人事件の共犯。

右代宮 戦人(うしろみや ばとら)

戸籍上は留弗夫と明日夢の子供。
実は留弗夫と霧江の子供。
この物語の主人公。
詳細は解説を参照して下さい。

右代宮 縁寿(うしろみや えんじぇ)

留弗夫と霧江の子供。 
この物語のもう一人の主人公。
詳細は解説を参照して下さい。

次女一家

右代宮 楼座(うしろみや ろうざ)

右代宮家の次女で第四子。
シングルマザーで真里亞の母。
真里亞を放置して恋人と旅行に出かけたりしている。
真里亞を鬱陶しく思っている。

右代宮 真里亞(うしろみや まりあ)

楼座の娘。
父親は楼座から金を借りて逃げた。
母から虐待され、その反動でぬいぐるみなどを擬人化して友達としている。
魔法などのオカルトマニア。
見た目ではなく、中身で人を別人と判断する。
紗音がベアトリーチェになるきっかけとなった。
幼い時に母の楼座と話した元気がでるおまじない「うーうー」が口癖。

使用人達

呂ノ上 源次(ろのうえ げんじ)

金蔵の旧友。
昔の恩義のため右代宮家に忠誠を尽くす。
使用人頭。
九羽鳥庵を知る数少ない一人。
なにかとヤスを気にかける。 
悪魔ロノウェは彼がモデル。

熊沢 チヨ(くまさわ ちよ)

年配の使用人。
九羽鳥庵を知る数少ない一人。
六軒島の伝説や魔法など、ヤスに精神的な影響を与える。
魔女ワルギリアは彼女がモデル。

郷田 俊朗(ごうだ としろう)

元は一流ホテルのシェフだった。
あまり、本筋とは関係ない人物。

紗音(しゃのん)

ときにヤスの妄想した理想の先輩。
ヤスの現実世界の姿。
ちなみに本人は女性らしく発達しない自分の身体を嘆いていたので、胸は偽物である。
「紗音の胸はパッド入り」
詳細は解説をご覧下さい。

嘉音(かのん)

ヤスが女らしい姿に発達しないのを嘆き、また、紗音の味方になる人が欲しいと思い、つくった人物。魔女達と違い、本人が男性の姿に変装している実在の人物。
劇中のトリックの殆どは、紗音と嘉音が実は同一人物であることである。

南條 輝正(なんじょう てるまさ)

金蔵の主治医。
金蔵とは初代ベアトリーチェからの付き合い。
全ての事件で共犯者である。

1,998年の現実世界

八城幾子

幻想世界では魔女フェザリーヌ。
名家の娘で推理小説を読んだり、書いたりしながら、
悠々自適な暮らしをしている。
六軒島から生還し事故にあった戦人を拾い、一緒に暮らす。
後に戦人と小説を競作し、八城十夜のペンネームで小説家となる。
ベルンという名前の黒猫を飼っている。

八城十八

八城幾子との競作のペンネームであり、
その正体は記憶喪失になった戦人。

小此木 鉄郎(おこのぎ てつろう)

絵羽亡き後の右代宮グループの実質のトップ。
勝手気ままに右代宮グループの株を寄付しようとする縁寿の命を狙っている。
縁寿の選択によっては天草によって縁寿を殺す。

天草 十三(あまくさ じゅうざ)

小此木 に雇われた縁寿のボディガード。
傭兵出身で銃器の扱いには長けている。
縁寿の選択によっては縁寿を殺す。

幻想世界

基本はヤスの想像上の人物。
一部の者は実在の人物のモデルがいる。

ベアトリーチェ

六軒島の悪霊伝説と肖像画のベアトリーチェと戦人への恋心が合わさった姿。
詳細は解説を参照して下さい。

ワルギリア

熊沢がモデルのベアトリーチェの師匠の魔女。

ガァプ

ヤスが最初に妄想した 魔女。
物を瞬間移動させる魔法を使う。
新しい魔女の姿を思いついた事により、ベアトリーチェからガァプへと変わった。

クレル

ウィルに独白するためのヤスの仮の姿。
また、肖像画が出る前のベアトリーチェの姿。 

ベルンカステル 

「奇跡の魔女」
魔女幻想に対するニンゲン側として最初から登場。
残忍な性格。
現実世界では、八城幾子が飼っている黒猫として描写される。
設定では「ひぐらしのなく頃に」の梨花らしい(?)

ラムダデルタ

「絶対の魔女」
ベルンカステルを愛する少し間の抜けた魔女。
魔女にしては良い性格(?)
エピソード8では大活躍。

フェザリーヌ・アウグストゥス・アウローラ

「観劇と戯曲と傍観の魔女」
ベルンカステルやラムダデルタより上位の魔女。
現実世界での姿は八城幾子。

古戸 ヱリカ(ふるど えりか)

ベルンカステルの配下の「探偵」。
一度、戦人に勝利した事により、「1なる真実の魔女」を名乗っている。
昔、同棲していた恋人への不信感から、何でも疑う性格になってしまった。

ロノウェ

源次がモデルの魔女の執事。
防御魔法と体術を使う。

煉獄の7杭

金蔵がアメリカで購入した、オカルトマニアが喜ぶキリスト教の7つの大罪をモチーフにした7本の杭。
ニンゲンの姿の時のモデルは右代宮家の使用人達。

シェスタ3姉妹

真里亞の持っていた人形、森の音楽隊がモデル。
なので、一体が過去に戦死しているのは楼座に壊されたから。
事件の描写では殺人に使用されたウィンチェスター銃がモデル。

さくたろう

楼座が誕生日に贈った真里亞のライオンのぬいぐるみがモデル。
楼座に一度、殺されている。
後の縁寿の小説の主人公。

ゼパルとフルフル

片方が男性、片方が女性の契約の悪魔。
ベアトリーチェの黄金の蝶のブローチがモデル。

ドラノール

魔女を倒す異端審問官。
ミステリーのルール‘ノックスの十戒’を書いた者の娘。

ガートルード、コーネリア

ドラノールの部下。
扉の開閉を確認するガムテープとメモがモデル。

ウィラード・H・ライト

異端審問官。
引退直後、ベルンカステルに呼ばれ、犯人探しの探偵にされた。
ペットの猫を可愛がっている。

最後に

この作品の一番大事なメッセージとは?


「過去は変えられない!」だけど…
同じ作者の「ひぐらしのなく頃に」は、最近流行りの転生もののハシリではないですが、ゲームらしく『リセット』してやり直すもののハシリでした。(リゼロなんか典型ですね)
しかし、当たり前ですが、本当にそんな事はできません。
世界が滅びたり、人が死ねば、リセットしたりできないのが我々の生きている世界です。
たが、最近、『過去は変えられる』というのも自己啓発などで言われてきてます。
それは当然、物理的にそんな事ができるという意味ではなく、現在から見ての過去に対する認識は変えられるという意味です。
例えば過去に辛い事があって、「酷い過去だった。思い出したく無い。」と思うのと「確かに大変だったけど、そのおかげで今の成長がある。」というのでは違い、後者の認識では「過去は変わります」。
この作品も縁寿にとっては自分の親が殺し合いの中心だったという残酷な現実があり、大人達は全てにおいて「自分の欲しか考えない、悪い人達」でしたが、過去の大人達の葛藤をみて、考えを改めます。
それが魔法です。単なるマヤカシではなく、色々な経験をした後での他者に対する気持ちなのです。
「ひぐらしのなく頃に」が子供らしい希望にあふれているとしたら、この作品はもう少し大人になったものでしょう。
それは「愛がなければ見えない」のです。
愛とは他者に対する慈しみとでもいえば良いのでしょうか?
最後にこの言葉で締めくくります。

「さあさ、思い出してごらんなさい♪」

*ゲームを途中までやられていた方。アニメを観て意味が分からなかった方。
 できれば全巻読んでほしい。
 しかし、全巻揃えるのは結構、大変です。
 出題編で19巻、回答編で29巻の合計48巻もあります。
 最悪は最後の2つ、エピソード7と8の合計18巻は読んでほしいです。
 これにより、全ての謎がわかります。

*アニメ版が観たくなった方は「DMM TV」がおすすめです。
 この「うみねこのなく頃に」だけでなく、色々なアニメが観られますよ。
 また、「Amazon prime」と「Netflix」にはないので、ご注意ください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました